エコノミークラス症候群の対処法|予防や注意点、治療法は?
もくじ
エコノミークラス症候群の症状と原因
エコノミークラス症候群は、食事や水分を十分に取らない状態に加えて、長時間足を動かさなかったり、車で寝泊まりしたりして同じ姿勢のままでいるとなりやすい病気で、深部静脈血栓症や肺血栓塞栓症、肺塞栓症などと呼ばれています。
深部静脈血栓症とは
深部静脈血栓症は主にふくらはぎの静脈にできた血栓が、静脈を通って心臓へ戻る血液の流れが妨げられ、血栓のある足の血液の流れが滞り腫れてしまい、皮膚の色が赤黒くなったりします。
そのほかにも、
・足が重だるい
・重い痛みがあって足首を上げると痛みが強くなる
・ふくらはぎを掴むと痛みが増す
などの症状がでるので、血管外科医や循環器専門医を受診しましょう。
肺血栓塞栓症・肺塞栓症とは
深部静脈血栓症は放っておくと、血栓が次第に大きくなりちぎれて血管の中を流れ、肺に移動してしまい肺の動脈の流れが悪くなります。
この状態を肺血栓塞栓症・肺塞栓症といいます。
その結果、
・胸の痛み
・呼吸困難(息が苦しい)
・脈が早くなる(1分間に100以上)
などの症状が出ます。
突然死の可能性もあるエコノミークラス症候群
大きな血栓が肺の血管の根本を塞いでしまうと、意識を失いショック状態になることもあります。
命にかかわることもあるので、早めの段階で循環器専門医に診てもらいましょう!!
また、新型コロナウイルス感染症にかかると血の塊ができやすくなることが発表されています。
自宅療養中の患者さんの突然死も報告されていますので、異常を感じたら躊躇せず救急車を呼びましょう。
エコノミークラス症候群に注意が必要な人とは?
エコノミークラス症候群は、なりやすい人とそうでない人がいるそうです。
以下の方はエコノミークラス症候群に対して特に注意が必要です。
① 過去にエコノミークラス症候群にかかった人
② 最近手術を受けた人
③ 骨折などの怪我やがん(悪性腫瘍)を患った人
④ 肥満の人
⑤ 経口避妊薬を服用
⑥ 妊娠中または出産直後
⑦ 糖尿病や高血圧、高脂血症などの生活習慣病
エコノミークラス症候群の治療法
エコノミークラス症候群の治療法には、詰まった血栓を薬を投与して溶かす薬物療法か、外科的に直接取り除き肺の血液の流れを回復させるなどの治療が行われます。
◆抗凝固療法
血液が固まるのを防ぐためや血栓が大きくならないように、ヘパリンやワルファリン、経口抗凝固薬などを点滴したり服用する療法。
◆血栓溶解療法
肺動脈に詰まった血栓を溶かすために、ウロキナーゼなどを投与して肺動脈につまった血栓を溶かす治療。
◆手術・カテーテル治療
重篤な状態の場合は、血管内にカテーテルを挿入して血栓を吸引したり、くだいたりして取り除く療法。
開胸して肺動脈から血栓を取り除く肺動脈血栓摘出術を行う場合もあります。
◆下大静脈フィルター
足に血栓ができてしまい、症状が繰り返される危険がある場合には、下大静脈フィルターというネットを腹部の静脈に入れて予防措置を行います。
エコノミークラス症候群の対処法
エコノミークラス症候群の対処法としては、足を動かす運動をすることが勧められています。
その他にも長時間座る作業のときには、楽な服装で靴下のゴムはゆるいものがおすすめです。
適度な水分補給も効果的で、1日1リットル程度を目安に水分を取りましょう。
深呼吸することも効果的だそうですよ。
◆厚生労働省が勧める「予防のために心がけると良いこと」
① ときどき、軽い体操やストレッチ運動を行う
② 十分にこまめに水分を取る
③ アルコールを控える。できれば禁煙する
④ ゆったりとした服装をし、ベルトをきつく締めない
⑤ かかとの上げ下ろし運動をしたりふくらはぎを軽くもんだりする
⑥ 眠るときは足を上げる
エコノミークラス症候群予防に効果がある運動
エコノミークラス症候群予防に効果がある運動例を紹介します。
※「予防のための足の運動」(厚生労働省)を加工して作成
⑥ は、足が赤黒くむくんでいる場合はやめましょう。