汗かきの原因は病気かも? 顔や頭、手や足の大量の汗で日常生活に支障が
汗かきの原因は病気かも?
汗は体温の調節や湿度の保持など大切な機能で成就な身体活動ですが、大量に汗をかいてしまい日常生活に支障を及ぼしてしまう場合は「多汗症」の可能性があります。
多汗症の分類
多汗症には全身に汗が増える「全身性多汗症」と、手のひらや足の裏など体の一部に汗が増える「局所性多汗症」に分類されます。
また、汗をかく原因で分類すると、感染症や内分泌代謝異常、神経疾患などの病気や薬の副作用などが原因の「続発性多汗症」と、原因が不明の「原発性多汗症」に分類されます。
約90%は「局所性多汗症」で、特に手足の原発性局所多汗症が多いそうです。
顔や頭、手や足の大量の汗で日常生活に支障が
幼少期は手足の発症が多く、思春期には脇、20代以降は頭や顔に多く発症する傾向があるそうです。
手の汗で解答用紙が湿ってしまいテストが受けられなかったり、汗が染み出してしまうので暑い夏でも薄着になれなかったり、汗で滑って鉄棒の授業を受けられなかったり、日常生活に支障をきたしてしまうことも多いです。
特に今年の夏は、新型コロナウイルスの影響でマスクを着用しなければならず、少しでも動くと汗が止まらないという人もいます。
多汗症の診断基準
どの程度の汗をかいたら多汗症といった定義はないそうで、人によってその程度に合わせて段階的に治療が行われます。
局所多汗症の診断基準は、明らかな原因がないまま6ヶ月以上過剰な発汗があり、
かつ
① 最初に症状が出るのが25歳以下
② 対称性に発汗が見られる(左右対称)
③ 睡眠中は発汗が止まる
④ 1週間に1回以上の症状がある
⑤ 家族歴がある
⑥ それらによって日常生活に支障をきたしている
の6項目のうち2項目以上当てはまる場合、多汗症と診断されます。
多汗症の治療法
病気や薬の副作用などが原因の「続発性多汗症」の場合は、基礎疾患の治療が優先されます。
原因が不明の「原発性(特発性)多汗症」の主な治療法は、
塩化アルミニウム外用療法
塩化アルミニウム(ローション、クリームなど)を、手のひらや足の裏、わきの下などに外用し、汗腺の穴を塞ぐことで汗の量を減らす治療です。
ただし、刺激性があるので傷がある場所への使用は控えたほうがよいです。
水道水イオントフォレーシス療法
水を入れた専用の機器に弱い電流を流し、手や足を15分ほど浸す療法で、電流を流すことで汗が排出される汗孔が潰れ、その数が少しずつ減っていくため汗の量が減っていきます。
初期治療として5、6回行い効果が現れたら、週1回のペースで維持療法を行います。
痛みや苦痛などはなく、大きな副作用もないので、子供から大人まで年令に関係なく治療できます。
ボトックス治療
ボツリヌス毒素から抽出した成分を用いる治療で、皮下に注射して交感神経から汗腺へ刺激の伝達をブロックすることで発汗を抑えます。
手や足、腋などに行われ、非常によく聞く治療法ですが、高価の持続時間は3ヶ月から6ヶ月程で継続的に治療する必要があります。
また、使用した部位の筋力が低下する場合があるので注意が必要で、注射薬が高価なので医療費が高額になる場合があるそうです。
交感神経遮断術
手のひらの多汗症の場合、手術によって交感神経を切断する場合があります。
全身麻酔で内視鏡をつかって胸部の交感神経を切断する手術ですが、日帰りで行うことができる安全性が高い手術ですが、胸や背中になどから多く汗が出る代償性発汗が起こる場合があります。
その対策として胸部の交感神経の切除範囲を少なくすることで、ある程度代償性発汗を減らすことができるようになってきているそうです。